文献の調べ方

論文でもリポートでも、自分であるテーマを決めて、調べものをしたり、参考となる資料を集めようとするときに、どうすればよいのか。わからない言葉や漢字はどうやって調べたらよいのか。また参考となる文献の探しかたは。ここでは、日本史に関するごく初歩的な方法を、独断と偏見で紹介します。

1 日本史上の語句を調べる

事件・用語・人名など

○吉川弘文館『国史大事典』全15巻
少し古いが、とりあえず一番くわしい。また項目ごとの末尾に参考となる文献の紹介もついているので便利。甲子園大学の図書館・人間文化学部資料室にもあり。重いのが難点。コピーしてじっくり読む。
○角川書店『角川日本史辞典(新版)』
コンパクトで手頃なお値段。買って手元に置くならこれでしょう。後ろについている資料集もそれなりに有益。

※日本史系の辞典は、河出書房新社・小学館・岩波書店など各種出ているので、いくつか調べて比較対照すること。執筆者により相当違います。重要なのは、あまり古いものは役に立たない、ということ。学問は日進月歩なのだ。

  地名・史蹟など 

○平凡社『日本歴史地名大系』
府県別で、『大阪府の地名』など。大阪府とか兵庫県は二冊ある。その土地に詳しい方々が執筆しているので、地域のことを手軽に知りたいときに有益。人間文化学部の資料室に一部ある。
  史料に出てくる古語など
○小学館『日本国語大辞典』(全20巻)
これも重くて、手がしんどい。特に甲子園大学図書館のは重いバージョンのだ。でも昔の史料などに出てくる古語について調べるには断然これ。用例も載っていてナイス。古語が方言に残っていることがわかります。あと手近なところでは、古い版の『広辞苑』とか。
 古文書・くずし字など
○柏書房・林英夫ほか編『古文書解読字典』
中川ゼミ必須。古文書の読み方をマスターするには辞書は絶対必要。最初は使いこなせないが、使いこなそうとすれば、読めるようになるもの。これは初心者用3000円以下です。
○東京堂出版児玉幸多編『くずし字用例辞典(普及版)』
中川の愛用品。上のよりかなり詳しい。机上版も出ているが、高価で重く、間違うと精神的打撃が大きい(経験済み)。
2 文献をさがす

ある特定のテーマに関する文献や論文はどんなのがあるか

○国立国会図書館のNDR-OPECが有益です。「一般資料の検索」で和書をキーワードなどで探せる。また雑誌論文は「雑誌記事索引の検索」により有名雑誌はほぼ網羅できる。
○東京大学史学会の雑誌『史学雑誌』毎年五号(「回顧と展望」特集号)
前年に発表された論文・文献の主なものを時代別・分野別に紹介しているので、最新の研究状況がわかる。なぜか甲子園なぜか甲子園大学にはないが、大きな図書館にはある。1949〜1985年の回顧と展望は、山川出版社『日本歴史学界の回顧と展望』として刊行されているので、そちらが便利。
また卒論作成のためなど、より詳しく研究論文をさがす必要のある人は、『史学雑誌』に時々掲載されている文献目録にあたること。甲子園大学では、『史学雑誌』の最近のものは、人間文化学部7号館3階の資料室に、昔のものは中川研究室にあります。
○国書刊行会『日本史関係雑誌文献総覧』
ただし昭和56年まで。
○テーマによっては、特別の目録や便覧がある場合もある。たとえば藩のことをとりあえず知りたいなら、雄山閣『藩史大事典』(全8巻)が便利。これについては、中川に相談してください。
○大きな図書館に行き、コンピュータや蔵書目録でキーワード検索。大阪地域なら大阪府立中之島図書館や大阪市立中央図書館へ行こう。外部からインターネットで蔵書が検索できる場合もあるので、前もって調べておくと効率的。
○お金持ちなあなたなら、大きな本屋さんに行き、日本史コーナーにたたずもう。大阪では淳久堂書店(難波・西梅田堂島)がおすすめ。堂島店には検索機もあって便利。一万円以上買うとコーヒー券がもらえる。また本屋で店員さんにいろいろ聞くことは恥ではないので、わからなければたずねてみよう。

読みたい論文や本はわかったが、大学にはない。所在をさがすには 

○文部省の情報学研究所のNACSISのWEBCATウェブキャットは、大学図書館や一部の公共図書館にコンピュータ登録されている書籍・雑誌を検索できます。無料。活用しよう。
○インターネット書店など検索機能つきのホームページは、買わなくても有益です。

○『学術雑誌総合目録』(和文編と欧文編)

ちょっと前まではこれが頼みの綱でした。他大学および比較的大きな公共図書館のどこにどの雑誌が所蔵されているかがわかる。甲子園大学では図書館の受け付けカウンター内にあるので司書の方にお借りしてください。

他大学の図書館などに目的の文献がある場合、直接そこに行くか、甲子園大学の図書館から「文献複写依頼」を出して、コピー代と送料を負担すれば、コピーを送ってもらえる。通常1週間から10日くらいかかる。ただしこの場合、論文名・所収雑誌名・掲載ページなどを確認しておくこと。また他大学の図書館から単行本の現物を送ってもらうことも、場合によっては可能。送料自己負担となる。

3 インターネットお役立ちサイト

歴史学関係なら、断然、鵜飼正志先生の歴史学関係Webサイト調査がすごい。
→http://www.h-web.org/ リンクの頁にあり。
全国の博物館・図書館・歴史系研究室・研究者個人のホームにリンクできます。歴史に関する疑問を掲示する掲示板もあり。
ただ注意したいのは、インターネットで収集した情報は必ずしも「正しい」ものとは限らない、ということ。内容をきちんと吟味して使うこと、出典のアドレスを明らかにすることが必要です。無断で、コピーアンドペーストで使うなんてことは、決してしてはいけません。人の研究論文をまるまるコピーしてレポートとして出す例が最近増えていますが、それは不正な盗作、著作権法違法ですので、私は見つかり次第不正として報告し、単位を認めません。

4 より詳しく文献をさがす方法を学べる本

池田祥子 『文科系学生のための文献調査ガイド』青弓社、1995年
斉藤孝、佐野眞、甲斐静子『文献を探すための本』日本エディタースクール出版部、1989年