2006年夏鶏肋窯製夕顔の壺に夕顔の花
源氏物語で「心あてにそれかとぞみる白露の光そへたる夕がほの花」と源氏がたとえた夕顔の君は、やはり「町の女」だった。日本古来の夕顔はカンピョウの花。夜に咲き朝の光にしぼむ花は儚いかもしれないが妙に現実的だし、葉と実はものすごくたくましい。「枕草子」も「夕顔は花のかたちも朝顔に似て言ひつづけたるに、いとをかしかりぬべき花の姿に、実のありさまこそいとくちをしけれ」(65段)とある。
ウリ科の一年草。ヒョウタンとは同種で、広い意味ではヒョウタンの内に含められる。夏の夕方に開いた白い花は翌日の午前中にしぼんでしまうので「夕顔」といわれた。原産地はアフリカ。平安時代に中国から日本へ伝わった。ヒョウタン・ユウガオは最も古い栽培植物の一つでもある。ペルーで1万2千年前の遺物が発見されており、中国でも6千年前の果皮と種子が出ている。日本でも福井県鳥浜遺跡から8500年前の果実の破片と種子、滋賀県粟津湖底遺跡から9600年前の種子が見つかっている。ユウガオの果皮を干して作るカンピョウは、中国の6世紀の書物『斉民要術』に記載があり、927年の『延喜式』にも大和国の産物と書かれている。カンピョウはかつて近畿地方が主産地で近江水口の鳥居家が壬生城に移封されてから栃木に広がった。東南アジアでは果実を煮て食べる。