ユリ科カタクリ属Erythronium。日本には紅紫の六弁花が咲く一種のみ生息するが、北半球全体では15〜25種が分布する。属名はギリシャ語の「赤」の意味で、ヨーロッパ産カタクリの花色にちなむが、最も種類の多い北アメリカには黄色・白・薄紫の花色もある。花びら6枚に見えるが、半分はがく。
黄色の花をつける園芸種パゴダは、カリフォルニア中部原産のツオルムネンセの選抜種。
自然では、カタクリは明るい落葉樹の里山によくみられる。1年の大半を地下で休眠する。かたくりの地下茎はゆり根に似て小さく、これから採ったでんぷんが本物の片栗粉。今も漢方に使われる。
「もののふの八十娘子(やそおとめ)らが汲みまがふ寺井の上の堅香子の花」大友家持『万葉集』巻19
カタクリは植木鉢で咲かせるのは難しい。自然では林のなかに群生したりしているが、詳しい人によると、寒さから守るためかなり深く植える必要があるそうだ。
左上のは園芸種のパゴダ。花のかたちが日本のカタクリほどシャープではないが、花びらに濃淡があってはかなげ。
左下と下は母の庭に深く埋めて花を咲かせたかたくり。小さな頭をもたげてからはうれしくて、毎日見守りました。「紅紫色の花びらを後方へぴんと曲げ、小さいかがり火のように首をたれる花。うすい緑地に濃緑の斑紋をうかべた葉」(足田輝一『雑木林の博物誌』)が美しい。