樹なつみはストリーテラーである。呪いとか念とか超能力がからむ違和感さえも、現実をわすれさせてくれるのだ。『八雲立つ』1〜(白泉社、花とゆめコミックス、1992〜)のうるわしのシャーマン、闇己クンはとうとう七本の神剣を集めてスサノオ以来蓄積された怨念を昇華させてしまった。オカルトブームは80年代頃からマンガの世界に浸透したが、なかなかストーリーとして読ませてくれるものは少ない。
前のシリーズの『虹色三角』は超能力とバスケットボール、因習の島とアメリカという、考えてみると異様な組み合わせからできていた。八雲の方がまだしも自然だ。
『獣王星』も終わってしまった。悲しい。
でも新シリーズが始まって、こんどの主人公の怪物はややアホっぽい感じがかわいいが、今後に注目したい。すっきりした首すじからきりっとした腰まで、かっこいい男の後ろ姿を描かせると、樹さんの右にでるものはいない。