本中毒者の行動パタンは、経験上、おおむね以下のようなものと考えられる。本中毒に対する世間の眼は冷たい。ぜひあたたかく見守ってほしい。
1 常に本を携行している。本がないと電車の中や空き時間にどうしたらよいかわからないという強迫観念を持っているため。バックなどの袋物類は、本を入れたり、立って文庫本を読むことを前提として買うので、いつもでかく、底があるタイプで、肩掛けないしはリュックである。たまに歩きながら読んでいることさえある。
2 専用の書庫を持つことを夢見ている。しかし現実には、2段以上のスライド書棚か、天井まで本を入れられるスチールのつっぱり式書棚に、前後二段に本を詰め込んでいる。
3 本屋さんマップや古本屋地図を持っていて、毎年買い換える。古書市の案内や古本屋のカタログがほぼ毎週届く。もちろんインターネット本屋のお得意先でもある。
4 人の家に行くと、まず書棚を検分して、その人の趣味を穿鑿したり、おもしろい本を勝手に読みふけりがちである。
5 毎日一度は本屋をのぞかないと気がすまない。そしてのぞいてもおもしろい本がないと、何か損をしたような腹立たしさを感じる。とにかく、本屋の前を素通りすることができない。
6 ベッドでは数分でも本の頁を眺めないと眠れない。ごはんを食べながら、浴槽につかりながら、本を読む。
7 本が財産のほとんどをしめるので、引越がおっくう。しかし引越するときは本だけ先に赤帽で運んじゃうなどの裏技などこだわりを持っている。また住むところは、書棚の配置や日光による本の傷みを考えて、壁面が多く、窓が少ない部屋を選ぶ傾向がある。で、家が暗い。また本が雑然としているので、すきっとした「インテリア」に憧れていても、到底不可能である(書庫があれば別かも)。
8 まともな書店や図書館もないような「田舎」には絶対住めない、と公言している。また本を読まない人とはなんだか気が合わないような気がする。本好きの同類が集まると、天候の挨拶がわりに「なんか最近おもしろい本を読んだか」と聞きあう。
9 イギリスの城持ちの貴族と結婚して大きな図書室を持てたらとか、買う側ではなく古本屋や書店を開業してみたい、などという妄想を持ったことがある。
10 死後の本の処分について、思い悩んでいる。
こんなもんか。こうして書いてみると、我ながら、なんか悪い魔女に呪いをかけられているようで、あんまりだという気がする。でも本のない人生なんて考えられないので、とにかく、リサイクルと、かしこい収納あるのみ。昔、「捨てる技術」なる本がヒットしたときは、まじ怒りました。本を捨てるなんて、犯罪だろう。デジタル本の導入も考えてしかるべきだと思うが、研究用の専門書や雑誌、辞書などはデジタル化するとして、楽しみのための読書はどこでも手軽に開くことができる文庫本がいいと思う。ウェブ上の青空文庫もわざわざ印刷して読むわたしです。どうも根本的解決にはなりそうにもない。