饅頭

 武兵衛さんがよくもらったものとして、お饅頭がある。
大坂の饅頭屋といえば、高麗橋の虎屋が全国的に有名。長崎輸入の白砂糖を使った饅頭は一個5文。お客に出したり、贈答物には虎屋でなければ、という風潮があったそうだ。また虎屋は饅頭切手という商品券を出しており、これを贈ることも行われた。
 喜田川守貞によれば、昔の饅頭は塩味、蕎麦饅頭は江戸で最近できたとか。武兵衛さんがもらった饅頭の中には、唐饅頭というのも出てくる。たぶん、皮に小麦粉を使って焼いた茶色い饅頭のこと。

 饅頭は、元来鎌倉時代に禅宗とともに「点心(てんじん)」の一種として中国からもたらされ、道元の『正法眼蔵』にもその食べ方が出てくる。伝来説に二つあり、一つは東福寺の開祖聖一国師が宋から帰国して博多の茶店栗波虎屋吉右衛門に教えた酒饅頭。もう一つは元から帰国し龍山徳見が伴った林浄因が奈良で作り出した饅頭で林の子孫が塩瀬と名乗ったので塩瀬饅頭といわれる。
室町時代の「七十一番職人歌合」には、「てうさい(調菜)」という僧形の饅頭売が、砂糖饅頭と菜饅頭を売っている。


「二千年袖鑑」に虎屋とならんで出てくる饅頭屋

大手筋吾妻屋東雲堂の大手饅頭

天保頃江戸の人が開店、饅頭が大きく1個10文だったが、その後閉店した。

北屋町筋牢屋前の猿屋饅頭

寛政4年(1792)出店、店頭で饅頭作りを実演している。右手に小さくてみえませんが、木彫の猿がいます。