少彦名神社


 道修町1丁目のビルの間に、薬の神様少彦名命を祀った小さな神社がある。別名神農さん。この神社は、安永9年(1780)に京都の五条天神社から勧請され、薬種中買たちが「薬祖講」を結んで維持してきた。現在も製薬業界でこの講が組織され、お祭などの伝統を引き継いでいる。ふだんは閑静な神社だが、11月22〜23日の神農祭には多くの人が参詣し、周辺に露店がずらりと並んで賑わう。

2003年11月22日神農祭

 この祭で配られる張り子の虎のついた笹は、文政5年(1822)に日本ではじめてコレラが大流行した際に、病気退散のお守りとして配られたことに始まるということ。なぜ虎かというと、コレラは症状が激しく三日ほどで急死することも多く、一日に千里を走る虎のイメージでとらえられ、宛字として「虎列刺」「虎列拉」「虎列刺」「虎狼痢(コロリ)」などと虎の文字が使われたためと思われる。薬種中買たちは、「虎頭殺鬼雄黄丹」という虎の頭骨などを配合した薬をコレラの予防薬として市中の人々に配ったりもした。コレラの細菌が発見されていなかった頃の話。


神農さんの張り子の虎

夜店