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銭屋


これは江戸時代の算数の本、『塵劫記』のさし絵。右に書かれた文字は「銭売買の事」で、銭と銀などとの両替の計算問題なのだが、絵には銭屋(銭両替屋)の店先が描かれている。土間から一段上がったところに銭屋の番頭が控えていて、銭を持ち込んできたらしい客と応対しているところ。この客の足下を見ると、棒の両側に袋をつけて銭を入れて運んできたらしいことがわかる。銭は重い。ごくろうさん。箱に銭を入れて出ていこうとしている客の姿も見える。
銭は庶民が最もよく使う貨幣だったので、大坂には数百軒の銭屋が存在していた。豆腐屋や酒屋、呉服屋などの商売のかたわら、たまった貨幣を両替する兼業の銭屋もあったし、市場や繁華街で大きな店をかまえた銭屋もあった。銭屋たちは南両替仲間、三郷銭屋組合といった仲間組織に所属している者もいたが、大かたはどこにも属さない「無株」の銭屋だった。その多くは兼業だったと考えられる。
武兵衛さんには、大きな金銀貨幣を取り扱い大名貸も行う本両替は、銭屋ふぜいとは違うという自負があった。しかし銭屋から本両替になったりその逆もけっこうあり、何より銭屋たちは本両替の大事なお客様だったのである。